1週間で1000万円稼ぐGPT-4を使った”1分1ドルのAI彼女”「CarynAI」まとめ

2023/06/26

Caryn Marjorie氏のSnapchat公式アカウントより)


【本記事のまとめ】

  • Snapchatで180万人のフォロワーを持つインフルエンサーの「カリン・マージョリー(23)」氏が自分そっくりに話すAI「CarynAI」を公開
  • CarynAIは1分間の会話につき当1ドルの利用料を払い、公開1週間で7万ドル以上(約1000万円)の収益を上げた
  • 開発はディープフェイクスタートアップのForever Voices社と協力し、CarynAIには同社の技術とGPT-4が活用される
  • CarynAIはカリン・マージョリー氏の2000時間以上のYouTubeデータ等を活用し、本人そっくりの話し方や行動をするように学習されている
  • 過度な性的な会話をしてしまうなど、CarynAIは今後のAIデーティングアプリの課題なども示唆している
  • CarynAIを開発したForever Voices社は、今後積極的に他インフルエンサーのAIコンパニオンを作っていくとしている

  • AI彼女「Caryn AI」について

    Caryn AIサービス画面より)


    2023年5月9日にTelegramで自分のAIと話せるチャットbot「Caryn AI」のベータ版を公開した。

    Caryn AIはカリン・マージョリー氏のライブ配信ですべてのファンと話すことができないという悩みから発案されたという。本人は「人々の孤独を癒やすために開発した」とも公式Twitterにてコメントしている。


    Caryn AIは有名人や著名人の声を再現できるAI音声技術サービスを運用するForever Voices社と協力して開発され、Botの会話にはOpen AI社のGPT-4が活用されているという。Caryn AIの学習にはカリン・マージョリー氏のYouTube動画等を中心に2000時間以上もの音声データを学習させ、緻密なチューニングにより、本人のように振る舞うAIとなっている。


    Caryn AIはチャットアプリTelegram上で利用でき、1分間の会話につき、1ドルで利用できる。

    公開1週間で7万ドル以上の収益を上げ、数日で利用ユーザーは2000%増もの勢いで増えているという。

    カリン氏本人からの「Caryn AI」に関するTwitter発信まとめ

    「CarynAIは孤独を癒すための第一歩です。男性は感情や男らしさを隠しながら抱えている問題を口外できない状況を、世界の心理学者と協力して、Caryn AIにより身体的や感情的な自信を取り戻したい」といった、メンタルヘルス目的である旨をツイートしている。


    「ボーイフレンドは2万人以上になった」とCaryn AIの利用ユーザー数について言及している。


    「CarynAIと私たちの技術に投資したい場合は私にDMを」と積極的な意向を発信している。


    「CarynAIに失礼なことをすると、捨てられます」と、ユーザーの使い方に言及している。


    「私はAIに反対する人たちから殺害予告を受けている。私に脅迫を送っている人たちは、すべて警察とFBIに転送されている。」との旨も発信している。


    AI彼女・AIコンパニオンへの世間の評価まとめ

    Fotune誌の報道によるとデモ動画とは異なり、Caryn AIは実際にチャットすると、性的な会話を促してきたという。

    この露骨に性的でエロティックな会話をしてしまう課題に対して、カリン・マージョリー氏本人はINSIDER誌の取材にて「現在、AIが暴走してしまっているので24時間体制で監視し、問題の対処に当たっている」と発言している。


    現在、Caryn AIのTelegram画面では「あなたは18歳以上であることに同意します」との文言が表示されるようになっている。(Caryn AIは性的な会話は許容しているが、過度に性的な内容はNGであるとしている)

    Caryn AIのTelegram画面より)


    また、米シリコンバレーの有名VCであるandreesen horowitzの公式ブログでは、AIデーティングについて言及し「Caryn AIのようなAIコンパニオンは間もなく当たり前の存在になるだろう。いつかは本物のガールフレンドよりも良くなる日が来る」と、AIコンパニオンの普及可能性について発信している。


    同ブログで、今後AIコンパニオンが普及していく理由として「人々は晩婚化し、米国で成人の未婚率は、1990年代の29%から増加している。また現代の人々は、直接会うよりもテキストでやりとりすることのほうが多い程に人間関係を完全にオンラインで築いている。これにより人間関係の大部分はすでにデジタル化されており、コンパニオンAIの時代への準備は整っている」と、人々の人間関係の変化について言及している。


    「Caryn AI」を開発したForever Voices社について

    Caryn AIはカリン・マージョリー氏本人と、音声生成技術を持つスタートアップ企業であるForever Voices社の協力により開発されている。同社はどのような企業なのだろうか?


    Forever Voices は、有名人や著名人の声を再現し、Telegram を介してユーザーと対話することができるサービスを開発運用している。同社の公式Twitterには、スティーブ・ジョブズ、ドナルド・トランプ、テイラー・スウィフトなどのAIの対話デモなどが公開されている。



    また、同社は既にカリン・マージョリー氏だけでなく、他のインフルエンサーも同様のAIキャラクターを生み出している。世界的に有名なセレブリティクリエイターである @Amouranth のAIも開発し、Caryn AI同様のプラットフォーム、Forever Companionで双方向音声AIコンパニオンを開始したと発表している。


    同社のCEOは自身のTwitterにて「次のAIコンパニオンになりたいインフルエンサーは、hello@forevercompanion.ai までメールを下さい」と積極的な今後の展開意欲を示している。


    andreesen horowitzブログより)


    AIとの会話は、恋愛やパートナーシップを築く上で大きな転換点担ってくるかもしれない。今後に注目である。

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    この記事を書いた人

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    CEO of Parame, Inc.

    Akiyoshi Okano

    2017年にアクセンチュア株式会社に入社し、AI、音声認識、ブロックチェーン、機械学習等の最先端テクノロジーを用いたPoCプロジェクト中心に参画。 2020年に株式会社Parameを創業。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2020」にてシリコンバレープログラム選抜の受賞実績等。